第5話 日本の行政組織
一、 独任制と合議制
○独任制…権限の所在が一人の長に存し、長の下に命令を受けて業務を分担する補佐機関としてのヒエラルキー組織が置かれる。
○合議制…複数の委員が権限を共有する。合議制の委員長は代表者にしかすぎず、あくまで権限は委員の間の合議によって行使される。
二、 日本の行政組織の法令上編成
1、 マクロレベル…行政権を担う内閣(憲法65条、66条)は合議制で、内閣を構成する国務大臣が統括する省や庁は独任制である。
[1]3条機関…法律でもって設置改廃が求められる「国の行政機関」。なお、国務大臣が長となる委員会、庁には庁をおくことができる。(総理府防衛庁の下の防衛施設庁)
[2]内部部局…省の中心を構成する。官房(大臣のスタッフ)、(ラインとして)局(場合によっては部)、課、室が設けられる。昭和58年の国家行政組織法改正によって政令で設置改廃が可能となった。
[3]8条機関(8条、8条の2、8条の3)…省、委員会、庁には審議会(社会保障制度審議会)、施設等機関、特別の機関が置かれる。そのうち審議会と施設等機関は法律、政令でもって改廃が可能であるが、特別の機関は法律でのみ設置改廃が可能である。
[4]地方支部分部局…3条機関に置かれる。
2、 ミクロレベル
[1]法務省と環境省は副大臣、大臣政務官が一人づつしかいない。あとは全部副大臣が二人で、大臣政務官は総務省、外務省、国土交通省が三人で、あとは二人(国家行政組織法 別表第三を参照の事)
[2]官房は官房長が統括し、その下にはいわゆる官房3課が置かれる。
[3]事務次官レベルでスタッフ的な役割を果たす職を総括整理職という(外務審議官、財務省の財務官、農林水産審議官、経済産業審議官、国土交通省の技監)
[4]局長レベルでは、総務課や庶務課という課が筆頭課としてスタッフ的な役割を果たしている。
[5]各局において横断的に企画、調査、審査等を機動的に行う分掌職が置かれることがある。
3、 スクラップ・アンド・ビルド方式
政令による組織の膨張を抑制する方式。佐藤栄作内閣の一省庁一局削減を受けて制度化されたものであり、ある組織の新設(ビルド)には、同等の組織を廃止か統合すること(スクラップ)を求めるものである。なお、各省庁は内部組織の設置改廃の多くについて総務省行政監察局の機構審査を受けなければならない。