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目からウロコの 行政法入門

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目からウロコの行政法入門 Part2

 回は行政法の大枠についてお話しました。法律を勉強する上では、まず、その法律の大枠を勉強することが大事です。法律の勉強が初めて、若しくは苦手だという人は、そうだなぁ、法律という名の森を創造してみて下さい。その森には憲法、民法という大木がひときわ大きくそびえ、憲法の周りに刑法や行政法といった公法の木が生え、民法の周りには商法或いは不動産登記法等の私法の木が生えているのです。それでもって、その森には判例という名の小川が流れ、さらには最高裁判所といった砦と下級裁判所(高等裁判所、地方裁判所等を併せたもの)という小屋があり、裁判官、検察官、弁護士という住人が生活しているのです。そして、森をみた上で、自分が勉強する法律の木を見るのです。その木を見るにはまず、その法を貫いている大原則という名の幹を初めに、次にその大原則から派生する原理という名の大きな枝をという風に。その法律のマイナーな条文や、判例の細かい知識即ち、小枝や葉っぱを見るのは一番最後です。まぁ、こんな感じで、法律を地道に学習していけば、法律科目を公務員試験において得点源にすることが出来るでしょう。


 ょっと前置きが長くなりましたが、行政法の話に入ります。

 まぁ、僕は学生時代、東京にいた頃にも法律を教えていましたし、司法試験にも受かったことがあるので(但し、短答試験だけだけど)、結構人から法律相談を受けることがあります。勿論無料です。ホントはお金が欲しいんだけど、お金を報酬としてもらってしまうと弁護士法に違反しちゃうんだよね。ムショの臭い飯は食いたくないからなぁ。でも、結構いろんな相談を受けますねぇ。交通事故だとか、最近はやりのニュースキンだとか、アムウェイに首を突っ込んじゃったとか、離婚したいんだとか、リストラに遭いそうだとか、中にはレイプされてしまったとか、妊娠詐欺とか、痴漢なんてものもあります。

 ごめん、ごめん、話がまたそれてしまいました。えーっと、僕が受けた相談の中で、こんなのがあったんです。東京の新宿の歌舞伎町って知ってる?テレビによく映ってるから、知ってる人が多いと思うけど、早い話が、日本一の歓楽街なんだよ。ホント、いろんな店があって、いろんな人がいて、いろんな事件が起こるとこ。僕も大学の2年生の時大学が歌舞伎町から近かったもんで、変な台湾人が経営する店でバイトしたことがあるけど、いろんな社会勉強をさせてもらいました。怖かったけど…。最近は歌舞伎町なんてところは日本の暴力団が影を潜めて、韓国人とか、中国人とか、台湾人のマフィアが牛耳ってるわけ。そんで、フィリピン人とか、タイ人、ベトナム人とかが苛められてるっていうか、虐けられてるっていうか、安い労働力として認知されている、そういう構図があるの。おっと、また話がそれちゃった。

 まあ、歌舞伎町は人が集まる所だし、24時間営業中なので、ナンパする人が多いんだよ。ナンパしたことある?或いはされたことは?(また、脱線しそう。)えーっと、ナンパする男が多いから、それ目当てで、女も集まってくる。そうするとナンパされることを商売にする女が出てくるわけです。こういう女のことをキャッチャーと言います。アクセントは後ろに置くんだよ。どうでもいいけど。僕に相談をもちかけた人をA君としますか。A君は普段はナンパなんかするような子じゃないのに、その日はたまたま酒も入っていで、彼女のいない寂しさも手伝ってか、こっちを見ていたちょっとケバそうな女の子に声を掛けたわけ。「の、飲みにいきませんか。」ってね。そしたら、「どうしょうかなぁ、奢ってくれるんだったら、いいよ。」って言うから、とりあえず近くの居酒屋に行って軽くビールでも引っかけて、二次会にカラオケにでも行こうって話になったわけよ。そしたら女の子が「私の知り合いがバイトしてるお店があるから、そこに行かない?ねぇ。」なんて感じで、上目使いで、甘えてくるから彼女のいうがまま、誘われるままにそこの店に行ったわけ。そして、そこの店で女の子が注文するまま、適当に飲んで、歌って、さぁ次はどうしようか、彼はいろいろ企み出したらしいんだけど、店員が「そろそろ閉店になりますのでお勘定お願いします。」って伝票をよこしたんだけど、ナントビックリ69,800円って書いてあったあしい。「なんだ、この値段は。此処は電気屋かぁ?俺は家電製品買いに来たんじゃねーんだぞ!!馬鹿野郎!!!」って啖呵を切りたいところだけど、彼は相当びびっちゃって、70,000円払って、ついでに「お、お釣はいいです。」なんて言っちゃったらしいんだ。そんで、女の子はそそくさと姿をくらましちゃったわけ。それから、俺のところに来て、「先生、70,000円を返してもらって、そのぼったくりの店を営業停止にしたいんだけど何かいい方法ありませんか。」だって。

 みなさんはどう思います?役所は営業停止に出来るでしょうか。答えは「出来ない。」なぜならば、法律が無いから。我々の選んだ国会議員が憲法41条に基づいてつくる法律が無いと役所は何も出来ないのです。これを「法律による行政」といいます。これは、行政法の大原則です。木でいうと、幹の部分に当たります。

 まぁ、東京でも銀座なんかには座っただけでウン万円というお店がわんさかありますから、ボッタクリ=値段が高い、というだけで営業停止にできる法律なんかできっこないですよね。

 それじゃ、役所は法律がないから、何もしないかというとそうじゃありません。そういう店がはびこって、町のイメージが悪くなるといけないので、「ボッタクリは止めましょう。」と指導するでしょうね。これを行政指導といいますが、法律が無くても出来るんです。次に、指導に従わない場合はどうするか、まぁ、こういう店は大概まともな人が経営しているわけないでしょうから、指導しただけで、聞いてくれるとは限りません。指導しても聞いてくれない場合は、命令するしかないです。「営業停止」のね。これを行政行為といいます。もちろん、これをするには法律が必要ですが。じゃあ、命令しても聞いてくれなかったらどうするか。強制するんです。店のドアに南京錠でも付けて、さらに戸板を打ち付け、店を使えなくします。これを、行政強制といいます。そして、ここまでお役人様のお手を煩わせた悪者には罰則をして懲らしめなければなりません。他の店を使って同じことを二度としないようにね。これは行政罰。

 行政にとって、不都合なことがあったら、取り敢えず止めてくれるようお願い(行政指導)をして、それでも聞かないようだったら命令、(行政行為)して、それでも駄目だったら強制(行政行為)し、罰則(行政罰)を与える。そういう流れです。これらを行政作用というんです。行政作用には他に、行政立法、行政計画、行政契約があります。これらは、全て学者の言葉なんです。講学上の概念なんです。これらについての総則規定が法律上ないから学者が補っているんです。Part1でも言ったけど。


 は行政救済法に移ります。途中まで話しは戻って、役所の人がボッタクリの店まで行政指導に行って店の人と話をしようとするわけですが、店の人は全く聞く耳を持ちません。そんで、怒った役人は「てやんでい!!いい加減にしねぇか!!てめぇら!!こんな店は営業停止だ!!」って感じで持っていた南京錠で店の鍵を閉め、おまけに戸板をドアに打ち付け、営業停止にした旨を記した張り紙を店に貼り帰っていきました。こんなことできる?できんよね。何でかって、さっきも言ったように法律が無いから。法律が無いのに営業停止にしらゃった。これは違法な行政といえます。この場合店の人はどうする?営業ができなくなったのだから、収入が無くなるし、店のドアに戸板を打ち付けられたのだから、ドアが壊れてるよね。つまり、損害が生じてるってこと。だから、店の人は生じた損害の賠償をしてもらいたいわけ。この損害賠償請求を行うのは「国家賠償法」によらなければならない。この法は全部で6条しかない。その少ない条文を補う為に多くの判例の法理論を学習しなければなりません。国家賠償法を勉強する時は判例の理解が不可欠です。講義では、試験での出題可能性の高い重要判例を紹介します。

 じゃあ、損害が賠償されたらそれでいいのか。お金だけで店の人は納得する?そうじゃないでしょ。店の人としては、営業を再開したいよね。要するに営業停止という行政処分を取消して貰いたいわけ。これには、役所に対して文句を言う場合(行政不服申立て)と、裁判所に対して文句を言う場合(行政訴訟)の二通りがある。それぞれ、行政不服審査法、行政事件訴訟法に規定されています。これらの法律については両者を比較しながら、条文を丹念に理解しながら、若干の判例の事案と判旨というか結論を覚えればいいです。

 行政救済法については国家賠償法、行政不服審査法、行政事件訴訟法の三つの法律の学習が中心になります。


 後に行政組織法。行政法の中では、一番出題可能性の低い分野です。でも、教科書の最初に書かれているので、こればっかり勉強している人がいます。全く自己満足だよ。マスターベーションと同じ。自分だけ気持ちよくなってどうすんねん。ちょっと言い過ぎ?まぁ、俺の毒舌は許して。昔、某国会議員の秘書をしていて、彼にも言われたことがあります。「ダイゾーは政務次官以上にはなれないな。なってもすぐ舌禍事件を起こして罷免されるぜ。君はハマコータイプだ。」ってね。「じゃぁ、予算委員長には、なれるってこと?」って聞いたら、笑ってたけどね。ハマコーって知ってる?アンコウみたいに肝が美味いんだよ。なんちゃって。

 さて、道路工事の警備員っていうか誘導員。なんか、警察の制服みたいなの着てて、たまに警察官と紛らわしいときない?なんで、警察の制服もどきを着ているかというと、彼らが制服フェチだからじゃなくて、要するに人を誘導するから、人にいうこと聞いてもらいたいから、わざと権威主義的な格好しているんでしょうねぇ。馬子にも衣装ってな感じですかね。こんなこと言うと、いい加減刺されますねぇ。まぁ、僕は講師はエンターテイナーでなきゃならん、というのが持論ですから、しょうがないんですよ。毒舌は。松本人志みたいなもんだよ。そういえば、松ちゃん、今度ドラマで先生をやるんだってね。コメディアンが先生やるんだから、講師がコメディアンぶってもいいでしょ。っていうかただの毒舌だっていう噂もありますが。

 また、余計なことを言ってしまいました。えーっと、道路を走ってて、信号が赤なのに誘導員が「行ってもいいよ。」ってな合図をしたら行きますか?それが、警察官だったらどうしますか。前者の場合、僕だったら絶対行きません。だってそれで事故ったら目も当てられないですよ。だって、信号無視だよ。過失割合も9対1位になるんじゃないのかなぁ。まぁ、場合によるけど。じゃあ、警察官の場合は?そりゃ行くでしょう。でも、何故かなぁ。誘導員が一般人で、警察官は公務員だから?だったら、公務員である裁判官が旗、振ってたら行くの?東京都知事の石原慎太郎だったらどう?行かないでしょ。警察官だから行くんだよね。警察官は行政法上の執行機関としてそういう権限が与えられているんだ。先程の行政作用を行うには権限が必要なんだけど、その権限が何処の組織の誰に属しているのか、それはどういう組織なのか、というのが行政組織法なのです。内閣法、国家行政組織法、国家公務員法、地方公務員法、地方自治法、警察官職務執行法等といった法律がこれに当たります。


 上が、行政法の大枠です。そんなに難しくはありません。但し、行政法を勉強するに当たっては、憲法や民法の方に比重を置きながらの方が無難でしょう。まぁ、基本的には暗記科目です。でも、暗記科目だからって馬鹿にしちゃいけない。何を覚えて何を覚えないか、メリハリを付けないとね。自己満足の勉強になるよ。講義を聴いて要領の良い学習をして下さい。独学は毒学です。


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