第11話 政党
一、 政党の意義
○圧力団体は、自己の個別的利益の実現を図ればよい、という団体であるのに対して、政党は政権獲得をめざす団体である。
○「現代政治の生命線」(F.ノイマン)
○「政党は混沌たる投票者群の中に秩序をもたらす」(J.ブライス)
※政党発生当初は、徒党にすぎないものとして、マイナスのイメージで見られていた。今日政党が代議制にとって不可欠の存在となった理由は、立法府内の(数の政治)としての多数決原理の発展にある。
二、 政党の機能
[1]代表機能…政党は議会を足場に活動し、国民というか支持団体の利益を代表する。
[2]ルール作成機能…議会内での法の作成
[3]ルール適用機能…議会で作成した法を執行する機能(議院内閣制の下では顕著)
[4]利益結節機能…社会内部に存在する利益、要求等、様々な利害対立を政治が取り組むべき問題の対象として取り上げる。
[5]利益集約機能…利益結節によって政治の場に取り上げられた多くの様々な問題を、整理する機能。
[6]政治指導者の補充・育成機能…政治的リーダーとして有能な人材を政党が発掘し、訓練を施し、リーダーとなるべく育成する。
[7]政治的社会化、教育機能…選挙活動、広報などを通じて有権者に対して政治問題を伝達する世論形成指導の機能。
三、 政党の分類
1、M.ウェーバーの政党発展史
[1]貴族主義的政党→[2]名望家政党(幹部政党)→[3]国民投票型民主政党(国民投票型民主政党)
※これはマルクス主義下における a 国民政党(全国民の利益標榜)、 b 階級政党(特定の階級の利益標榜)といった分類に対抗するものであるが、イギリスの政党の歩みが背景にある。
2、イギリスの政党発展史
3、G・サルトーリの類型
類 型 | 政党数 | 競合 (自由選挙) |
政権 | イデオロギー 距離 |
その他の特徴 | 例 |
---|---|---|---|---|---|---|
1党制 |
1
|
無
|
単独
|
−
|
1党独裁 (他の政党の存在 法律で禁止) |
○旧ソ連 ○中国 ○ナチス・ドイツ |
ヘゲモニー 政党制 |
1+α
|
無
|
単独
|
−
|
実際上の1党支配保証 (他政党は形式的な 衛星政党として許可 されたもののみ) |
○共産主義下の
ポーランド ○メキシコ |
1党優位 政党制 |
2〜
(複数) |
有
|
単独
|
−
|
圧倒的政党の存在による 長期政権 (野党弱小) |
○55年体制の日本 ○以前のインド ○1965〜1973のトルコ ○1940〜1970のスウェーデン |
2大政党制 |
2
|
有
|
単独
|
−
|
2党間で政権交代 (第3党微小) |
○アメリカ ○イギリス |
穏健な 多党制 (限定的多党制) |
3〜5
|
有
|
連合
|
小
|
反体制野党存在しない 連合形成軸2極化 |
○ドイツ ○スイス ○オランダ |
分極的 多党制 (極端な多党制) |
6〜8
|
有
|
連合
|
大
|
政局不安定 無責任野党の存在 |
○フランス ○イタリア ○ワイマール・ドイツ |
原子化 政党制 |
多数
|
有
|
連合
|
極大
|
群小政党乱立 極度の混乱期 例外的状況 |