第7話 権力分立
一、 立憲主義
○国の基本法である憲法に基づいて、統治が行われることを意味する。
○絶対主義国家の権力の恣意的運用に反対し、これを極力防止する原理として生まれた。自由主義の理念と密接に関連する。
○「人の支配」を否定し、「法の支配」を確立させる原理である。
二、 法の支配
○「法の支配」は「人の支配」に対する対抗概念であり、権力者も含めて全ての人が共通の法(自然法)に拘束されるという法の普遍性に眼目がある。イギリスの法学者A.V.ダイシーによって完成させられた理論。
○「法の支配」と法治主義(形式的法に従って統治がなされ、当該法の正当性までは問わない、ということ)は厳格に区別されなければならない。いわゆる法治主義とは「人の支配」と両立するものである。
○「法の支配」は法律の内容それ自体の実質的合理性を重視する。
三、 権力分立制
立憲主義を現実の統治機構の上に反映させた表現の一つは権力分立制であり、もう一つは代議制である。
1、 権力分立制の理論
[1]J・ロックは『市民政府二論』において国家権力を立法権、執行権、連合権に分類した。
[2]モンテスキューは『法の精神』において国家権力を立法権、行政権、司法権に分類し、三権はそれぞれ相互に対等・平等であり、相互に抑制均衡が図られなければならないと説いた。
2、 権力分立制の現実
○三権が対等、平等であることが望ましいが、現実はそうではなく、一権が他の二権に対して、リーダーシップを発揮することになる。
○立法権がリーダーシップを発樺する立法国家。行政権がリーダーシップを発揮する行政国家。
○三権が厳格に分立されている大統領制と分立が緩やかな議院内閣制。