第8話 各国政治制度
一、 アメリカの大統領制
(概要)※大統領と議会との関係が出題されることが多い。
・厳格な三権分立。
・大統領または政府は法案提出権を有しない。教書という形で立法を要請する。
・各省長官は議員兼職も議会出席も(原則として)許されない。証人として出席。
・議会に不信任決議権はない。
・大統領に議会解散権はない。
[1]大統領
・任期4年、3選禁止。
・国民が選出する大統領選挙人によって選出される間接選挙である。
・アメリカの元首
・戦時には陸海空軍の最高司令官
・議会の立法に対して拒否権を有する。但し議会が3分の2以上の多数で再議決すると法律として成立する。
[2]各省長官
大統領に任命され、大統領に対してのみ責任を負う。大統領の相談相手(Secretary)。
・議員兼職は不可。
[3]連邦議会
・原則的に両院対等であるが、州権重視の立場から、州代表の性格の強い上院に対し、下院にはない権限が与えられている。
・実際の政治文化としては上院の方が威信が高い。
[4]上院
・各州の代表。任期6年。各州から2名選出。
・条約批准権(大統領が締結した条約を承認する権限)、(大統領が任命した閣僚等高級公務員に対する)人事承認権、大統領または連邦公務員が重大犯罪を犯した場合、罷免することができる(弾劾裁判権)を有する。
[5]下院
・連邦の代表。任期2年。人口により区割りされた各選挙区から1名選出される。
・予算の議決権について、上院に対して優先権を有する。
[6]連邦最高裁判所
・9名の裁判官で構成。
・裁判官は大統領が任命し、上院が承認する。
二、イギリスの政治制度
[1]国王
首相の任命、議会の招集・解散、上院議員の任命、大法官任命等を内閣の同意により形式的に行う。
[2]内閣
首相と閣僚(60人いる大臣のうち重要な大臣約20人)から構成される。首相も閣僚も全て国会議員でなければならない。
[3]イギリス議会
・上院(貴族院)と下院(庶民院)から成る。
・貴族院議員は終身議員で、選挙によって選出されない。
・庶民院議員は任期5年。小選挙区制によって選出される。
[4]裁判所
・貴族院が最終審を行う。
・下級審で陪審制度が広く採用されている。
三、日本とイギリスの議院内閣制の違い
1、 内閣総理大臣の指名
イギリスでは、下院第一党の党首が自動的に選ばれる。
2、 国務大臣の任命
イギリスでは、全ての閣僚が国会議員でなければならない。
3、 両院制
貴族院議員は、非公選の終身議員。
4、 議会運営
イギリスは本会議中心主義
5、 選挙制度
・庶民院議員選挙は小選挙区制