Part2 民法が難しいとされる理由
ジャングルの中をイカした四駆でドライブしていると、小川があってそこに橋が架かっていました。そんで、その橋のたもとに「牛馬渡るべからず。」と立て札が立っていました。君やったらどないする?この場合、牛や馬は橋を渡ってはいけない、という規範が存在し、その規範に対して、自動車はこの橋を渡ってええのか?という問題が生じています。この問題を解決する上で重要なことは、どういう理由でその規範(法律)が存在するのか、即ら法の立法趣旨が解決の糸口になります。例えば、橋が老朽化しているが為に、そのような規範がある場合は、自動車は渡ってはいけないことになります。一方で、橋を渡った向う岸には猛獣がいて牛や馬が渡ると食べられてしまうが故に当該規範がある場合には、自動車は渡ってもいいことになるでしょう。
まぁ、法律問題を解決する上では、具体的な規範というか、六法に載っている条文よりもその奥に隠れている立法趣旨が大事なわけです。
話を受験勉強に戻しますが、憲法の立法趣旨は憲法13条にも書かれていますけど「個人の尊厳の確保」です。個人の尊厳を確保するために、21条表現の自由があるし、国家権力が立法、行政、司法の三つに分かれているし、92条で地方自治という制度がある訳です。憲法のどこを切っても「個人の尊厳の確保」ということで説明が出来るんですよね。行政法も「国民(住民)の利益と行政の円滑な遂行」という趣旨でその殆どを理解することができます。し、しかし、民法には全てに渡って共通する趣旨というのがありません!!そこが、民法が難しいとされる所以なわけです。(私的自治という趣旨が一応ありますが、余り役に立ちません。)
だから、皆さんは民法を勉強する際は、という民法のテキストを読む際は、どこに趣旨が書かれているのか、ということに注意しながら読んで下さい。そんで、趣旨が書かれているところを見付けたら、ここぞとばかりにアンダーラインを引いてそれを覚えましょう。まぁ、立法趣旨を正確に理解していれば、余分な知識が無くとも、ホンマ、アドリブで試験問題が解答できるようになります。
ところで、アンダーラインの話をちょっとしておきたいと思いますが、まぁ皆さん蛍光ペン等で随時アンダーラインを引かれると思いますが、どこに線を引きますか?大事なところ?ほな、どこが大事なん?法律を勉強する際には(1)定義、(2)判例や学説が問題としているところ、いわゆる論点、(3)その論点に対する判例、通説の立場、(4)趣旨、(5)その他、に分けて、アンダーラインを引くのが宜しいですよ。そんで、線引くときは、それぞれ色分けをして下さいねぇ。そしたら、後で見直すとき、非常に便宜ですから。
それから、僕の講義では毎回、一問一答のプリントを配ります。このプリントは僕が大学院生の時、ツレの奴等と作った本から抜粋したものです。大学受験において日本史や世界史で山川出版社の一問一答をやった経験を多くの人がお持ちかと思いますが、その要領で自宅学習の際、毎日ちょっとずつこなしていって下さい。(講義においては使用しません。多分…。)
民法の学習においては趣旨を理解して、その趣旨に沿って知識を習得していく。これに尽きます。頑張って下さい。